カイゼン・ジャーニー 第3部 読書メモ
期待マネジメントのアップデート
- ドラッカー風エクササイズ、インセプションデッキは定期的に見直す
- 新しいメンバーが増えた時やプロジェクトの状況が一変した時
- 内側の期待
- チームにおける期待(ドラッカー風エクササイズ)
- 外側の期待
- プロジェクト関係者における期待(インセプションデッキ)
- 期待のすり合わせを定期的に行うこと
リーダーズインテグレーション
リーダーズインテグレーションとは、リーダーとメンバーの間の信頼感を醸成するためのワークショップです。
- リーダー、メンバー、ファシリテーターが集まる
- リーダーの自己紹介、抱負、価値観を5分程度で発表
- リーダーは会議室から退室
- メンバーだけで以下の項目を話しながら付箋に自分の意見を書き出す(各10分)
- リーダーについて知っていること
- リーダーについて知りたいこと
- リーダーに知っておいてほしいこと
- リーダーのためにみんなができること
- メンバーが会議室から退室し、リーダーが入室する
- ファシリテーターが議論の流れや行間をリーダーに説明(発言者は伏せる)
- リーダーは付箋をの意見を見ながら回答を考える
- メンバーが入室し、リーダーがメンバーに回答
慰労会やフリートークでざっくばらんに雑談する
ファシリテーションのポイント
- リラックスできる場をつくれるか
- 自己開示できるか
人が集まっているだけでは、ただのグループでしかありません。 チームとなるためには、お互いの期待をすり合わせ、信頼感をつくり上げ、心理的にも安全な状態をつくり出すことが必要です。
モダンアジャイル
- 人々を最高に輝かせる
- 安全を必須条件にする
- 高速に実験&学習する
継続的に価値を届ける
それぞれの要素が相互に影響しあっている
アジャイルな見積・計画づくり
- 規模見積
- 見積もったSPの合計
- 期間への変換
- スケジューリング
プランニングポーカー
- 数字が合うまでやらない、3回超えたら多数に合わせる
- 全員で見積もることに価値がある
リリースプランニング
- 遠い先まで詳細にした緻密な計画でなく、妥当なレベルの正確性を重要視する
- 計画は一度つくったからといって終わりではない
計画づくりという活動
- 計画とはその時点でわかっていることをベースにしたスナップショットである
- 不確実性を無視してはいけない
CCPM
Critical Chain Project Management
- たいていの計画は上振れする
- パーキンソンの法則
- 仕事の量は完成のために与えられた時間を満たすまで膨張する
- バッファはただ消費されていくのみ
という問題に対してCCPMは有効
- 各タスクにはバッファを持たずに抑えた見積をする
- 各タスクは達成できるか5分5分の見積を出す
- タスクの見積合計値の半分をプロジェクトバッファとする
- タスクバッファをもたないので先延ばしにならない
- 信頼関係が必要
- バッファを使ったことを責めない
- 見えない形でバッファを積んでしまうことは悪い習慣であるという文化を作る
YWTでむきなおり
- やったこと
- わかったこと
- 次にやること
スクラムオブスクラム
複数のスクラムチームから代表を集めて実施するミーティング
- 各チームからスクラムマスターが集まる
- 他のチームに関係する作業の情報
- チーム内だけでは解決できない障害
を共有する
アーキテクチャと組織の構造
- コンウェイの法則
- アーキテクチャは組織に従う。組織はアーキテクチャに従う。
デイリーカクテルパーティー
ミーティングに構造を持たせてコミュニケーションの流れを設計する方法
- 各チームで朝会
- 各チームの専門担当者が集まるMTG
- プロジェクトを横断するMTG
全員が必要な情報を得られて、かつMTG時間短縮できる
デザインプロセスと開発プロセス
- デザインプロセスと開発プロセスをどう噛み合わせるか
- ユーザーストーリー
- INVEST
- ユーザーストーリーは会話することを約束するもの
- ギャレットの5段階
- デザインチームと開発チームはスケッチレベルで認識を揃えておくのがよい
仮説キャンバス
- お金を払ってでも片付けたい用事を考える
- ジョブ理論
- プロダクトやサービスを雇用していると考える
- 同じサービスでも異なる用事で雇われることがある
- 機能面にだけ焦点を当てて差別化を図るだけでは顧客満足は得られない
課題や目的を明らかにし、適用可能なソリューションのコンセプトを練るフレームワークが仮説キャンバス
ユーザーストーリーマッピング
ユーザーストーリーマッピングとは時間の流れに沿ってユーザーの行動を洗い出し、 左から右にその変遷を可視化していくワーク。
- チーム全員で作る
MVP
ユーザーにとって価値があり、かつ最小限の機能を持った製品のこと。
- 人も時間もお金も有限である
- 価値検証が重要
- MVPの種類
- プロトタイプ型
- ハリボテ型
- 動画型
- コンシェルジュ型
- MVPのコードを再利用しようとは考えないこと
- ターゲットもちゃんと考える
- 最も強く製品を欲している人に向けて作る
- 広さと深さがポイント
- 広さは実現する範囲をコミットメントする
- 深さは機能の松竹梅
- どちらにしろ幅を持たせておくこと
ユーザーインタビュー
- 作り手側の勝手な思い込みで進めるのはよくない
- 直接的に声を聞くことで情報だけでなく感情も観察できる
ユーザーが本当のことを言っていない場合もある
準備フェーズ
- インタビューの目的を決める
- 仮説を立てる
- インタビュースクリプト
- 対象者の確保方法
- 人数
- 場所
- 謝礼
- スケジュール
- 結構日程がかかることを覚えておく
- 実施フェーズ
- リラックスできる環境
- ペーシング
- ミラーリング
- ラポール空間
- 不快な思いをさせない
- 深く解釈することや分析はしない
- 事実や話題をメモする
- 相手を観察する
- 検証フェーズ
- 情報をまず共有
- その後に考察や分析
インタビューの技
- インタビュー時は前置きを控える
- 中立でいる
- 確証バイアスにとらわれている可能性を常に意識する
- 誘導はだめ
- インタビュー結果をチームでフィードバックしメンバーからの気づきを得る
- インタビュー終了後に本音が出ないように見送り完了するまで気をつけておく
- インタビューしている時間を楽しく演出する
SL理論
Situational Leadership
チームメンバーの成熟度・熟練度にあわせて、仕事のやり方、任せ方を変えていく方法。
- S1(教示的リーダーシップ)
- トップダウンでリーダーが具体的かつ詳細に指示を出す
- S2(説得的リーダーシップ)
- リーダーがやり方を決めメンバーの疑問に応える
- S3(参加的リーダーシップ)
- メンバーの自律的活動をベースにし、リーダーは支援する
- S4(委任的リーダーシップ)
- 目的のみ共有し遂行はメンバーに委ねる
ハンガーフライト
天候が悪くて飛行機が飛ばせないときのパイロットたちの雑談が由来。 お互いの経験を共有する場をつくるべし。
社内ハンガーフライトの仕方
- 勉強会を企画する
- スキルを持っている人やチームメンバーを登壇者として誘う
- ピザや軽食、ビールを用意
- 社内で信頼貯金を持っており、技術的にも一目置かれているエンジニアや理解ある経営陣や管理職から応援の承諾を得ておく
ハンガーフライトで越境をつなぐ
- プロジェクトが終了してもノウハウとチーム文化は伝わっていく
- 人に起きる変化は伝播する
- 世界を変えるのは自分自身
所感
まず、映画化か漫画化したらいいのにと思った。ソフトウェア開発以外でも適用できる知見がたくさんあるはず。あと、ストーリーの盛り上がりがよくできていて、江島くんと同じタイミングで泣きそうになっていた。
第2部でも感じたが、チーム開発をストーリーで追体験することによってただのカイゼンプラクティス集ではなく、そこに発生する人間の感情もキャッチアップできるのが良かった。人間が仕事しているのだぞ、ということは忘れてはいけない。
具体的なプラクティスについては、参考になる部分もあるし現時点で必要ないものもあった。必要になったらまた読み返して、ということになると思う。
江島君は運がいいと思う人がいるかもしれないが、行動し、継続したからこその結果なので説得力がある。ただ、師匠的人物がいるのは恵まれている。
素晴らしい本だった。で終わらせるにはもったいないと感じた。

カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで
- 作者: 市谷聡啓,新井剛
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2018/02/15
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